労働政策審議会港湾労働専門委員会

港湾雇用安定等計画(案)

1 計画の基本的考え方

 (1) 計画のねらい
   この計画は、港湾労働法施行令(昭和63年政令第335号)別表の上欄に掲げる港湾(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸及び関門の各港湾。以下「6大港」という。)における港湾労働者に係る労働力の需給の調整並びに雇用の改善並びに能力の開発及び向上に関し、国、都府県、港湾労働者雇用安定センター及び事業主が講ずべき措置の指針を示すものである。
 (2) 計画の背景と課題
  イ 港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上の現状
    港湾運送事業は、貨物の取扱量が日ごとに変動するという特徴(港湾運送の波動性)を有しており、個別の企業において常用労働者のみによって荷役作業を処理することには限界があり、企業外労働力に依存せざるを得ない状況にある。企業外労働力として日雇労働者に依存することは労働者の雇用の安定上も問題があるだけではなく、その就労に際し、第三者が不当に介入する弊害も生ずるおそれがある。また、港湾運送事業主には、中小企業が多いこともあり、次に掲げるように、他の産業に比して、労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上について、なお改善の余地のある状況となっているところである。
   (イ) 労働時間
     屋外労働者職種別賃金調査によると、港湾労働者の平成14年8月における実労働時間(休憩時間を除き、手待時間を含む。)は1日当たり平均8.8時間、年間に換算すると2,239時間となっており、毎月勤労統計調査による全産業(事業所規模5人以上)の平成14年における年間総実労働時間である1,825時間に比して長くなっている。
   (ロ) 週休二日制の導入状況
     6大港の港湾運送事業所のうち、何らかの形で週休二日制を導入している事業所の割合は、港湾運送事業雇用実態調査によると、平成15年6月30日現在で、79.9%となっており、就労条件総合調査による全産業の平成15年1月1日現在における何らかの週休二日制の導入割合である88.4%に比して導入率が低くなっているところである。
   (ハ) 退職金制度等の有無
     6大港の港湾運送事業所のうち、退職金制度を導入している事業所の割合は、港湾運送事業雇用実態調査によると、平成15年6月30日現在で、82.3%となっており、就労条件総合調査による全産業の平成15年1月1日現在における退職給付制度の導入割合である86.7%に比して導入率が若干低くなっているところである。
   (ニ) 職業訓練
     港湾運送事業雇用実態調査によると、港湾運送事業主の行う職業訓練は、6大港の61.6%の港湾運送事業所で実施されている。
  ロ 今後の港湾労働対策の課題
   (イ) イで述べたように、港湾労働の分野においては、港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上についてなお改善すべき状況にあるが、これに加え、近年、港湾労働を取り巻く環境は大きく変化しているところである。
    a 規制改革の影響
      6大港における港湾運送事業に係る規制改革に伴い、港湾運送事業主は、事業の一層の効率化、サービスの多様化が求められており、共同受注・共同就労の増加等の変化が生じてきているが、事業の効率化に伴い、港湾労働者の雇用の安定が損なわれることが懸念されることから、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立に資する施策を引き続き講ずる必要がある。
    b 近代的荷役の進展
      近年、貨物輸送のコンテナ化、荷役作業の機械化、設備の近代化等近代的荷役が進展しており、港湾労働者自身が高度な技能・技術を習得することはもちろん、港湾運送事業主においても高度な技能労働者を確保することが課題となっている。また、港湾運送事業に係る規制改革に伴い、港湾運送事業主においては、より効率的な経営が求められ、高度な技能労働者を確保する必要性が一層高まっている。このため、高度な技能労働者の確保に資する施策を引き続き講ずる必要がある。
    c 波動性への対応
      貨物輸送のコンテナ化等近代的荷役の進展にもかかわらず、日単位の短期の波動を特徴とする港湾運送の波動性は依然として存在しているところであるが、港湾運送事業に係る規制改革により港湾運送事業主はより効率的な経営が求められ、これに伴い、港湾運送の波動性により効率的かつ的確に対応していくことが求められている。このため、港湾運送の波動性に効率的かつ的確に対応するための施策を引き続き講ずる必要がある。
    d 港湾のフルオープン化の合意
      平成13年11月に、港湾運送事業に係る労使間の協議において、港湾における荷役作業の24時間364日の実施(港湾のフルオープン化)の合意がなされたところであり、この合意等に基づき、今後、日曜・夜間荷役が増加することが考えられるが、この場合においても、労働時間の増加等の労働環境の悪化が生ずることのないよう、荷役作業の実施状況、労働環境への影響の状況等を勘案しつつ、必要な施策を講ずる必要がある。
   (ロ) 港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上がなお十分に進展しているとはいい難い現状にあることや、近年、港湾労働を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえ、今後の港湾労働対策においては、従来より実施されている港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上に係る施策に加え、「港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立に資する施策」、「高度な技能労働者の確保に資する施策」及び「港湾運送の波動性により効率的かつ的確に対応できる施策」として、港湾労働法の一部を改正する法律(平成12年法律第72号)により導入された「港湾労働者派遣制度」の適切な運営及び有効活用の促進、港湾労働を取り巻く環境の変化に的確に対応した港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上を促進するための施策の推進等を通じて、引き続き港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図っていくことが重要である。
 (3) 計画の期間
   計画の期間は、平成16年度から平成20年度までとする。

2 港湾労働者の雇用の動向に関する事項

 (1) 港湾運送量の動向
   6大港における港湾運送量は、昭和62年度以降増加基調にあったものの、景気の低迷を反映して、平成6年度以降横ばい傾向となっているところであり、平成13年度における6大港の船舶積卸量は、前年度に比べ約1,608万トン減少し、50,904万トンとなっている。また、6大港における船舶積卸量に占めるコンテナ貨物の割合は、昭和45年度の5%から、平成13年度には63.3%と上昇している。さらに、コンテナ貨物量については、今後においても、貨物量全体の動きを上回る伸び率で推移することが予測されるところである。
   このような近代的荷役の進展にもかかわらず、日単位の短期の波動を特徴とする港湾運送の波動性は依然として存在しているところである。
 (2) 港湾労働者の雇用の動向
  イ 労働者数
    6大港における常用港湾労働者数は、昭和62年度以降の荷役量の増加及び港湾労働者の雇用の安定を図るための企業常用化の促進により増加傾向にあったが、平成5年度以降減少傾向となっており、平成14年度末現在における6大港の常用港湾労働者数は、28,573人となっているところである。
  ロ 就労状況
    6大港における港湾労働者の月間平均就労延数は、昭和62年度においては、約70万2千人日であったが、その後減少傾向にあり、平成14年度においては、約50万8千人日となっているところである。そのうち常用港湾労働者の月間平均就労延数は、港湾労働者の雇用の安定を図るための企業常用化の推進により、平成14年度においては、約49万8千人日(港湾労働者派遣制度による就労人日を含む。)で、全体の98.1%を占めるに至っているところである。
  ハ 入職率及び離職率
    6大港における港湾労働者の入職率は、全産業における入職率に比して一貫して低い割合となっており、平成14年については、全産業における入職率が14.5%となっているのに対し、6大港における港湾労働者の入職率は、13.5%にとどまっている。また、離職率についても同様の傾向が見られるところであり、平成14年については、全産業における離職率が16.6%となっているのに対し、6大港における港湾労働者の離職率は、12.9%となっているところである。
  ニ 港湾労働者の年齢構成
    他の産業に比して入職率及び離職率ともに低い水準にあることから、港湾労働者の高齢化は他産業に比して進展しており、平成14年については、全産業の労働者における50歳以上の者の比率が26.2%となっているのに対し、港湾労働者における50歳以上の者の比率は、39.6%となっているところである。

3 労働力の需給の調整の目標に関する事項

 (1) 労働力の需給の調整の目標
   港湾労働法(昭和63年法律第40号)は、事業主に雇用される常用労働者による荷役処理を原則としているところであるが、近年、コンテナ輸送の増大等、港湾における輸送革新はより一層進展しているところであり、港湾運送の分野においては、高度な技術・技能を有する労働者をより積極的に活用していく方策が求められているところである。このため、港湾運送の業務に従事する労働者については、常用労働者として雇用し、計画的に教育訓練を行うことにより、高度な技術・技能を有する労働者を養成していくことが重要である。また、日雇労働者の就労に際し、第三者が不当に介入することによる弊害が発生するおそれがあることから、このような問題を回避するためにも、港湾運送の業務については、基本的に常用労働者で対応することが適当である。
   このような観点から、港湾における荷役作業については、各事業主に雇用される常用労働者による対応を原則としており、港湾運送の波動性に対応した企業外労働力については、港湾労働者派遣制度に基づき派遣される他の事業主に雇用される常用労働者による労働力の需給の調整が原則とされ、港湾労働者派遣制度を利用したにもかかわらず必要な労働力を確保できない場合には公共職業安定所の紹介による日雇労働者の雇入れが認められ、さらにその適格な紹介が受けられない等の場合に限り日雇労働者の直接雇用が例外的な措置として認められているところである。
   これらのことを踏まえ、港湾における荷役作業については、今後とも、各事業主に雇用される常用労働者による対応を原則とし、企業外労働力としては港湾労働者派遣制度による他の事業主に雇用される常用労働者による対応を原則とすることについて徹底を図ることにより、港湾労働者の常用化を推進するとともに、事業主に雇用される常用労働者の雇用の安定に努めることとする。
 (2) 労働力の需給の調整に関して講ずべき措置
  イ 国及び都府県が講ずる措置
   (イ) 港湾労働法の趣旨の徹底を図るための事業主に対する指導の実施
     事業主の企業外労働力への安易な依存を排除し、港湾労働者の常用化を促進するため、事業所等の積極的な訪問等を通じ、必要な指導を行うことにより、港湾における荷役作業については、各事業主に雇用される常用労働者によって処理することを原則とする港湾労働法の趣旨の徹底を図る。
   (ロ) 常用労働者の雇用の安定の確保
     港湾労働者派遣制度の適正な運営及び有効活用の促進並びに雇用秩序維持対策を講ずることにより、事業主に雇用される常用労働者の就労の機会を確保し、常用労働者の雇用の安定を図る。
   (ハ) 直接雇用の日雇労働者問題への対応
     平成14年度における直接雇用の日雇労働者の月間平均就労延数は、9,384人日で、港湾労働者全体の月間平均就労延数の1.8%を占めているに過ぎない。しかしながら、各事業主に雇用される常用労働者の平成14年度における月間平均就労日数(港湾労働者派遣制度による就労日数を含む。)は、17.2日であり、港湾労働者派遣制度の更なる活用により、各事業主に雇用される常用労働者の就労日数を増加させ、直接雇用の日雇労働者の使用を減少させることが可能である。このため、各事業主における直接雇用の日雇労働者の利用状況の的確な把握に努め、直接雇用の日雇労働者を多数使用する事業主に対しては、雇用管理に関する勧告を含め、必要な指導を行い、直接雇用の日雇労働者の月間平均就労延数の減少に努めることとする。
   (ニ) 人付きリース問題への対応
     小型フォークリフトの人付きリースの借受け台数は、平成4年度には月平均で延べ10,680台であったものが、平成14年度には月平均で延べ1,651台まで減少しているところであるが、人付きリースについては、その運転手の行う作業が、借り受けた事業主の指示の下に港湾労働者の行う荷役作業と一体となって行われる実態にある場合は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に違反するものであり、人付きリースの会社はもとより、当該会社から人付きリースを受け入れた事業主についても、労働者派遣法上の措置の対象となるものである。特に許可を受けて港湾労働者派遣を行う事業主が、人付きリースの受入れを行うことは、港湾労働者派遣制度の適正な運営の観点からも問題があると考えられる。
     人付きリースにより処理されている荷役作業については、基本的に、港湾労働者派遣制度を利用し、他の事業主に雇用される常用労働者を使用することにより処理することが可能なものである。
     このため、人付きリースの完全縮小を行うため、人付きリースの利用状況の的確な把握に努めつつ、港湾労働者派遣制度の更なる活用の促進、改善計画の策定等の個別指導の拡充等を行うこととする。
   (ホ) 雇用秩序の維持
     港湾における荷役作業については、各事業主に雇用される常用労働者による対応を原則としているところであり、港湾運送の波動性に対応した企業外労働力については、港湾労働者派遣制度に基づき派遣される他の事業主に雇用される常用労働者による労働力の需給の調整が原則とされ、港湾労働者派遣制度を利用したにもかかわらず必要な労働力を確保できない場合には公共職業安定所の紹介による日雇労働者の雇入れが認められ、さらにその適格な紹介が受けられない等の場合に限り日雇労働者の直接雇用が例外的な措置として認められているところである。このような港湾における雇用秩序が維持されることは、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図る観点から必要不可欠なことである。
     このため、港湾労働法遵守強化旬間等を通じて、港湾関係者の遵法意識の一層の高揚を図るとともに、雇用秩序連絡会議の積極的開催、港湾労働者からの申告に対する迅速な対応、現場パトロール及び立入検査の効果的な実施、雇用管理に関する勧告等により、違法就労の防止を図ることとする。
     また、労働者派遣法又は職業安定法(昭和22年法律第141号)に違反する形態による労働力の需給調整については、港湾における雇用秩序を混乱させるものであることから、その是正指導及び防止の徹底を図る。
   (ヘ) 公共職業安定所における適格紹介等の実施
     公共職業安定所においては、常用労働者に係る適格紹介の実施、求人・求職情報の積極的な提供等を行うとともに、日雇労働者の求職の動向等の的確な把握に努め、公共職業安定所の紹介による必要な労働力の確保に努める。
   (ト) 港湾労働者雇用安定センターに対する指導及び助言の実施
     港湾労働者派遣制度による効率的かつ的確な労働力の需給の調整を実施するため、港湾労働者雇用安定センターが行う事業主支援業務及び雇用福祉事業関係業務の実施について必要な指導及び助言を行う。
   (チ) 共同受注・共同就労の適正な実施を図るための事業主に対する指導の実施
     共同受注・共同就労については、それぞれの作業が適正な請負として実施される必要がある。このため、共同受注・共同就労を「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)に照らし適正な請負として実施すべきことについて、事業所等の積極的な訪問等を通じ、必要な指導を行う。
  ロ 港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置
   (イ) 事業主支援業務の適正な実施
     港湾労働者派遣制度による効率的かつ的確な労働力の需給調整を実施するため、事業主及び事業主団体と密接な連携を図り、港湾労働者派遣制度に係る情報の迅速な収集及び提供を行うとともに、港湾派遣元事業主及び港湾労働者派遣の役務の提供を受ける者の双方の要請を満たせるよう、積極的に労働者派遣契約の締結のあっせんを行う。
   (ロ) 雇用福祉事業関係業務の適正な実施
     港湾労働者派遣制度による効率的かつ的確な労働力の需給調整を実施するため、派遣労働者に従事させようとする業務の内容等、港湾派遣元事業主及び港湾労働者派遣の役務の提供を受ける者からの労働者派遣契約の締結のあっせんに係る要請の内容をきめ細やかに確認するとともに、事業主、港湾労働者その他の関係者に対して、港湾労働者派遣事業に関する相談その他の援助を行う。
  ハ 事業主及び事業主団体が講ずる措置
   (イ) 直接雇用の日雇労働者問題への対応
     常用労働者による荷役処理を基本としつつ、港湾運送の波動性に対応するための企業外労働力の利用については港湾労働者派遣制度による他の事業主に雇用される常用労働者により対応することが原則である。このため、直接雇用の日雇労働者の利用が例外的となるように努める。
   (ロ) 人付きリース問題への対応
     人付きリースとして利用されている機械のうち、常時必要なものについては、原則として、事業主の自己所有又は機械のみの借受けとし、その運転手については、事業主が雇用する労働者あるいは港湾労働者派遣制度による他の事業主に雇用される労働者をもって充てることとする等により、人付きリースの完全縮小に努める。
   (ハ) 手続の適正な実施
     港湾労働法に定められた届出、報告等の手続を適正に実施する。
   (ニ) 港湾労働者雇用安定センターへの協力
     港湾労働者派遣制度による効率的かつ的確な労働力の需給調整を実施するため、港湾労働者雇用安定センターに対して事業所における港湾労働者の需給の状況に関するできる限り具体的かつ詳細な情報を積極的に提供するよう努めるとともに、港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣契約のあっせんに協力するよう努める。
   (ホ) 事業主団体が講ずる措置
     事業主が講ずる(イ)から(ニ)までの措置について、事業主に対する周知徹底、必要な助言その他の援助を行う。

4 港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上を促進するための方策に関する事項

 (1) 雇用の改善を促進するための方策
  イ 国が講ずる措置
    雇用管理者の選任の徹底等により、事業主の雇用管理の改善の一層の促進を図るとともに、港湾運送事業の規制改革、港湾のフルオープン化等の港湾労働を取り巻く環境の変化等により、労働時間や労働災害の増加、労働保険への未加入、その他労働環境の悪化が生ずることのないよう、必要な指導を行うとともに、関係者の協力を得つつ、必要な福祉対策が実施されるよう努める。
  ロ 港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置
    港湾労働を取り巻く環境の変化に的確に対応した雇用管理者研修及び事業主を対象とする雇用管理の改善に関する相談その他の援助を実施する。
  ハ 事業主及び事業主団体が講ずる措置
    事業主は、雇用管理者を選任し、その資質の向上を図るとともに、計画的な港湾労働者の募集等を行う。また、福利厚生の充実等雇用の改善を促進し、港湾運送事業の雇用機会としての魅力づくりに努める。
    また、港湾のフルオープン化等により、日曜・夜間荷役が継続的に行われる場合には、労使間の協議に基づき、交替制勤務の導入等による適切な雇用管理の実施を図るほか、共同受注・共同就労の増加等に対応して事業主が協力して労働安全衛生対策を講ずる等、港湾労働を取り巻く環境の変化に的確に対応した労働環境の整備に努める。
    事業主団体は、事業主の講ずる措置について、必要な助言その他の援助を行う。
 (2) 能力の開発及び向上を促進するための方策
  イ 国が講ずる措置
    港湾職業能力開発短期大学校を始めとする公共職業能力開発施設において、荷役機械の技術革新の進展等の港湾労働を取り巻く環境の変化によるニーズの変化に的確に対応した港湾運送業務に係る職業訓練の効率的な実施に努めるほか、講師の派遣や施設の提供等事業主が行う教育訓練を支援、促進する。
  ロ 港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置
    クレーン運転士免許試験等に係る指定教習機関としての指定を受けている愛知県豊橋市の港湾技能研修センターにおいて、荷役機械の技術革新の進展等の港湾労働を取り巻く環境の変化によるニーズの変化に的確に対応した荷役機械の操作等の業務に従事できる技能労働者の育成を行うとともに、港湾労働者に対する相談援助や各種講習を実施するほか、認定職業訓練施設に対する補助金制度を活用すること等による運営基盤の強化並びに港湾労働者の能力の開発及び向上に対する事業主の自覚の高揚に努め、事業主に対して同センターの積極的利用を促す。
  ハ 事業主が講ずる措置
    荷役機械の技術革新の進展、共同受注・共同就労の増加等の港湾労働を取り巻く環境の変化に留意しつつ、その雇用する港湾労働者の職業生活の全期間を通じた段階的かつ体系的な教育訓練を行うよう配慮する。

5 港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項

 (1) 国が講ずる措置
  イ 港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するための事業主に対する指導等の実施
    派遣就業の日数の上限の緩和等により、港湾労働者派遣制度の適正な運営に支障を来すことのないよう、港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保し、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立を図るためには、労働者派遣契約の締結に際して、港湾労働者雇用安定センターのあっせんを受けることが適当であること、港湾労働者派遣事業は自己の営む港湾運送事業に付随して行うことが適当であること、港湾労働者派遣の役務を専ら特定の者に一方的に提供することを目的として活用すること及び労働者を専ら派遣就業に従事させることは適当ではないこと、労働者を港湾労働者派遣制度の対象としようとする場合にはあらかじめ本人の同意が必要であること、港湾労働者派遣の対象としようとする労働者が主として従事している業務についてのみ派遣が認められること、港湾労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた当該派遣中の労働者について法に基づく労働安全衛生上の措置等を講ずる必要があること等同制度の適正な運営を確保するために必要な指導を行うとともに、同制度の趣旨の徹底を図る。
    また、港湾労働者派遣制度の実施状況の的確な把握に努めるとともに、港湾労働者からの申告に対する迅速な対応、現場パトロール及び立入検査の効果的な実施等を通じて、港湾労働者派遣制度の適正な運営を図る。
  ロ 港湾労働者雇用安定センターに対する指導及び助言の実施
    港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するため、港湾労働者雇用安定センターが行う事業主支援業務及び雇用福祉事業関係業務の実施について必要な指導及び助言を行う。
 (2) 港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置
  イ 事業主支援業務の適正な実施
    港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するとともに、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立を図るため、事業主及び事業主団体と密接な連携を図り、港湾労働者派遣制度に係る情報の迅速な収集及び提供を行うとともに、港湾派遣元事業主及び港湾労働者派遣の役務の提供を受ける者の双方の要請を満たせるよう、積極的に労働者派遣契約の締結のあっせんを行う。
  ロ 雇用福祉事業関係業務の適正な実施
    港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するとともに、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立を図るため、派遣労働者に従事させようとする業務の内容等、港湾派遣元事業主及び港湾労働者派遣の役務の提供を受ける者からの労働者派遣契約の締結のあっせんに係る要請の内容をきめ細やかに確認するとともに、派遣元責任者に対する研修を行うほか、事業主、港湾労働者その他の関係者に対して、港湾労働者派遣制度に関する相談その他の援助を行う。
 (3) 事業主及び事業主団体が講ずる措置
  イ 港湾労働者雇用安定センターの活用
    港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するとともに、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立を図るため、港湾労働者雇用安定センターに対して事業所における港湾労働者の需給の状況に関するできる限り具体的かつ詳細な情報を積極的に提供するよう努めるとともに、港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣契約のあっせんに協力するよう努める。
  ロ 許可基準等の遵守
    派遣就業の日数の上限の緩和等により、港湾労働者派遣制度の適正な運営に支障を来すことのないよう、港湾労働者派遣制度は、港湾労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営・就労体制の確立との両立を図るための制度であることを理解し、港湾労働者派遣制度の許可基準とされている自己の営む港湾運送事業に付随した港湾労働者派遣事業の実施、適正な派遣料金、派遣就業の日数の上限等を遵守するとともに、一定の経験・資格を有する者のみを港湾労働者派遣制度の対象者とし、法に基づく労働安全衛生上の措置等を的確に実施する等、港湾労働者派遣制度を同制度の趣旨に沿って活用する。
  ハ 事業主団体が講ずる措置

事業主が講ずるイ及びロの措置について、事業主に対する周知徹底、必要な助言その他の援助を行う。