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港湾運送の在り方に関する懇談会

全国港湾03FAX第46号(2003年12月9日)
第6回港湾運送事業のあり方に関する懇談会の経過について

 

1.12月5日(金)14:00より虎ノ門パストラルにおいて第6回港湾運送事 業のあり方に関する懇談会(以下懇談会と略す)が開催された。
  懇談会は、独禁法と下請法の関係や引き受け義務の廃止などによるセーフティ ネット策とこれまで議論されてきた内容の中間的とりまとめを懇談会事務局から資料を通じ提示された。前半は前回質疑のあったセーフティネット策について懇 談会事務局より説明を行い、続いて中間的とりまとめの説明を行った。
  説明後、各委員からセーフティネットの実効性や実施時期などについての質疑が行われ、本日、意見を出した各委員とも調整をはかりながら、懇談会事務局で中間まとめを作成し、年内にはホームページ上で公開すると同時にパブリック・ コメントを求めることとした。
  なお、次回懇談会の開催は、パブリック・コメント終了後の1月下旬に開催する予定である。

 

2.懇談会での各委員と行政の質疑応答は、要旨次の通り。

 委 員/「これまでの議論の整理」に対して6つの意見を述べたい。①料金監査して改善をうながす期間を現行1年間から半年とすべき。緊急監査制度の発動要件を改正すべき。②港湾の安定化と労働環境を配慮しながら、緊急調整措置を講ずるべき。(別添P.13~14)③事業法を全港に適用すべきである。④保有基準の1.5倍に対応できない県には特例とあるが反対である、隣接県で対応すべき。(p.15~16)⑤港湾にも独禁法と下請法となったが、本当に効果があるか疑問である。引き受け義務廃止には反対、義務があるから適正料金となる。(P.17~P.18)⑥拠出金の納入方法について従来通りとしているが、ダンピングの立証出来なくなる可能性があるため、分割納入方式の導入を前提にかかるコストの軽減策を検討すべき。(P.20~21)

 行 政/料金監査について文書警告してから半年だと、事業者負担が大きくなる。緊急調整措置については、主要9港の新規許可が13件であることから、タクシー事業などのように新規が乱立することは考えづらい。また、昔のように貨物の滞留もなく、引き受け義務を廃止しても問題はないと考える。
     保有基準の県をこえての対応は、移動もあることから実質難しい。
 委 員/保有基準の1.5倍について対応できない港については、特例措置をとるというが具体的にどう考えるのか。
 行 政/現在、85港を対象に調査を進めている。県内で4事業者に満たないと    ころは5県(秋田、山形、石川、福井、鳥取)あるが、いろいろバリエーションを考えて臨機応変に対応したい。事業者が1.5倍でよいといえば、1.5倍にするが、1.5倍が無理な場合は仮に1倍でもかまわない思う、ただ、その場合の新規参入条件も1倍となる。
 委 員/「これまでの議論の整理」の全般的な感想として、「本当に地方港の規制緩和は行う必要があるのか」というのが率直な感想である。規制緩和の趣旨は、労働者の雇用、労働条件に悪影響を与えずに、経営努力によって活性化、効率化促進するものと理解しているが、主要9港の規制緩和によって、料金が引き下げられ、規制緩和されていない地方港の料金も下がっている。港湾労働者の賃金は下がり、労働時間は長くなっている。本当にこの報告書の施策によって、料金ダンピングが防げるのか。

    5pの「集約・協業化による事業規模の拡大および効率化のための作業の共同化」について、「事業の共同化は着実に進展している」とは言えないのではないか。ただ、労働者保有基準をクリアーするための事業協同組合も多く、運政審答申が期待した「事業規模の拡大や企業体力の強化、ターミナルオペレーター業への進出等の新たな事業展開」については期待するほど実現していない。集約・協業化に対する政策誘導の措置が必要であるし、集約・協業化に伴う雇用問題対策が必要である。

     10pの「地方港の現状と今後の展開」で11pに「港湾に求められてい    るものは、物流コストの削減、サービスの高度化や臨海部の産業再生への貢献である」と今後の地方港の姿が描かれているが、「地域の産業競争力の向上に資する」ことが地方港の今後の展開なのか。現状の共通した特徴として「背後に立地する製造業との密接な関係を有し、周辺立地企業の原材料の輸入や製品の輸出、生活物資等の輸送拠点としての役割」が挙げられているが、「生活物資の輸送」という地域住民の生活の視点が求められ    る姿として欠落している。また地方港の規制緩和をすれば、「製造業の海外移転」が止まり、国内に戻ってくるかのような記述は納得できない。地方港の将来像の記述としては、夢を持てるものになっていない。

     16pの労働者保有基準を原則1.5倍とすることは基本的に賛成である。ただ、1.5倍が困難なケースについて十分な配慮をお願いしたい。猶予期間についても1年7ヶ月を超える十分な期間を設けてほしい。
     16pの料金変更命令や緊急監査制度は有効に機能していない。ユーザーに対する両罰規定の導入、港湾運送事業が海陸一貫輸送の一環であることに鑑み他部局と連携した同時総合的な監査の実施などをすべきである。

     17pの独占禁止法の運用強化であるが、「国土交通省としても積極的に協力し、努力していくべきである」という努力規定になっている。港湾運送事業を所管する国土交通省がダンピング問題に逃げ腰のような気がしてならない。主要9港の規制緩和が行われた港湾運送事業法の改正のときに「ダンピング防止のため、関係各省が連携して、船会社、荷主にも必要な指導をおこなうこと」という国会付帯決議がある。それにもとづいて、港運課長が通産省、農林水産省の関係部署と連絡会議を設置して対策を図ってきた経過がある。それ以上の実効ある措置を取るべきだ。また、独禁法、来年4月から港湾運送事業に適用される下請法について周知徹底するようにすべきである。
     17pの引受義務の廃止であるが、本当にセーフティネットなのか。前    回懇談会での長田課長が「引受を拒否したら荷主は他の事業者の新規参入を図るだろう」というような説明からすると、とてもセーフティネットとは思えない。「港湾運送事業者と船社、荷主の力関係の差を解消し、対等の力関係を築くためにも」引受義務の廃止というが、力関係の差があるからセーフティネット策が必要なのである。引受義務廃止は、港湾の公共性を損ない、地方住民の生活に影響を及ぼしかねない。引受義務を廃止する    必要はない。

     18pの港湾安定化協議会の設置については是非実現してほしい。港運協会、運輸局、港湾管理者の守備範囲が入り組んでいるところもあるので具体化する場合には、地方の実情を考慮して枠組を検討するようにしてほしい。料金の実態を検討する場合などには、必要によって経済産業省、農林水産省の出席を求めるなど、実効があがるようにしてもらいたい。港湾安定化協議会は法律事項ではないと思うので、港湾の安定化を実現するために、報告書がまとまり次第、設置を図るように徹底してもらいたい。

     26pの港湾運送事業法適用対象港の指定基準として新たに、周辺港への影響、港湾整備計画等を加えて総合的に勘案する考えを示したことは評価する。ただ、指定解除の場合は、港湾労働者の雇用に十分配慮して慎重に検討するようにすべきである。また、今すぐにでも指定してほしい港があることを申し添える。
 行 政/国の構造改革方針にそって規制をはずし、企業努力で活性化をはかることとしている。過度の緩和で混乱を起こさないことと同時に競争の自由化をそがないよう進めていきたい。
     料金ダンピングには、料金監査を強化して進めていきたい。
     各地域の自治体が考えるのは工場の誘致等であり、地域に産業を興すためは物流の効率化が必要となってくる。地方港の役割について生活基盤を書き加えてもよい。
     引き受け義務については、事業者側だけに負担をかけることはどうかと思う。また、引き受け義務があることによって適正料金が保たれるとは限らない。
     港湾安定化協議会(仮称)は、関係者間でつめていくべきだと考える。
 委 員/規制緩和による港湾の効率化と安定化のバランスをとるのは難しい。
     港運事業者は、過当競争により共倒れになるとの危機感を抱いており組合側は労働条件や雇用への影響があると懸念している。
     一方、船社関係が厳しい時代に面したときに港運も協力してほしいと相談を受け、それ以来20年の間協力してきた。近年、船社関係は景気がよいということだが、借りは返してくれるのではと思っている。
     総論的に4つ意見を述べたい。①実施時期については、猶予期間を十分設けること。②各港によって事情が異なることから、細かい配慮を行うこと。③安定化を重視してほしい。セーフティネットの不十分なところは繕って頑丈な網にしてほしい。④以上のことを含めて、国交省と地方運輸局で連携して積極的に取り組むこと。
 委 員/ユーザーとして364日24時間オープンは、画期的であり評価してい    る。
     定期船などを含め、運賃修正などでいい結果が出ている。現在、コンソーシアムを東アジアと欧州で協力してやっている。日本の港は、ロッテルダムやシンガポールに比べるとコスト面がネックになっているが、なるべく大型船を日本へ帰航させたいとの思いはある。
 委 員/荷主側としてトータル輸送コストの削減に取り組んでいる。手法として規制緩和が有効であることから、主要9港の規制緩和から地方港の規制緩和と移ってきた。コスト、時間について行政にも対応をお願いしたい。
     現段階ではすでに結論の下ろし方が中心になりつつある。それぞれの港で事情が違うので一律の対応になるとは思わない。

3.懇談会は以上の議論をふまえ、中間的とりまとめに修正を加えることを座長へ 一任した。
  懇談会事務局は個別に意見を聞きながら修正を加え、年内に中間的とりまとめをホーム・ページに掲載し、パブリック・コメントも同時に募集することとした。
  次回懇談会は、パブリック・コメントを終了したのちの1月下旬に開催予定であることを付け加え、第5回懇談会を16:05に終了した。

 

以  上