資料室 – 港湾運送の在り方に関する懇談会 » 港湾運送事業の規制緩和に反対し、港湾の安定運営方策に関する申し入れ

港湾運送の在り方に関する懇談会

  2003年9月12日
   全国港湾03発第19号
   港運同盟発16-第61号

国土交通省 
  海事局長  鷲 頭  誠  殿 


     全国港湾労働組合協議会
      議 長 安 田 憲 司

     全日本港湾運輸労働組合同盟
      会 長 井出本  榮

港湾運送事業の規制緩和に反対し、港湾の安定運営方策に関する申し入れ

 現在、閣議決定に沿って、港湾運送事業のあり方に関する懇談会(以下、懇談会と略す)で、港湾運送事業の規制緩和について議論が重ねられている。規制緩和を先行実施した特定港湾の実情を見れば明らかなように、荷主・船社の際限のない料金削減強要によって、規制緩和前と比較して計り知れない悪影響が出ている。同時に、運政審最終答申が指摘した、港運事業者の基盤強化も見通せない状況になっている。したがって、港湾労働者と港湾運送事業者にのみ一方的に犠牲を強いる「規制緩和」には反対であり、規制緩和を含む港湾政策の導入は失政と断じざるを得ない。
 ついては、港湾運送事業の安定運営を図る立場から、あらためて下記の通り申し入れるので、別途協議の場を設けて貴意回答を明らかにすること。

1.規制緩和を先行実施した特定港湾の実情について
 (1) 以下の諸点について、貴省の考え方を示されたい。
  ① 規制緩和後の実情についてどのようにみているか。
  ② 規制緩和後に新たに届けられた料金は何件あるか。そして、その水準は認可料金と比べてどのような水準にあるか。
  ③ また、監査・業務改善命令の発動の実績とその結果について、詳細に報告されたい。

 (2) 規制緩和後の港湾運送の実態を検討した結果、次の施策が必要と考える。貴省の考え方を示されたい。
  ① 特定港湾であれ、その他の港湾であれ、貴省による港湾運送事業の公共性に鑑みた監査などの行政措置は不十分であったと考える。従って、特定港湾に対する緊急監査、料金変更命令など、いわゆる規制緩和へのセーフティーネット方策の厳格な実施を行うこと。また、公正・公平競争を確保する立場から料金制度に両罰規程を設けること。
  ② 下請二法を改正して、荷主・船社と港湾運送事業者の関係にも適用すること。
  ③ 新規参入の申請に際しては、徹底した情報開示と事前審査の強化を行うこと。
  ④ 事業免許・許可については、更新制を導入すること。

2.地方港と検査事業の今後のあり方について、次の施策を講じること
 (1) 地方港の規制緩和については、日本経済の動向、地域特性、港湾行政のあり方に十分配慮すること。

 (2) 地方港は地域経済の発展と不可分な関係であり、地域行政、当該産業、事業者及び労働組合との相互理解による港湾運営の視点が大切である。従って、港毎に港湾運送安定化協議会(仮称)を設置すること。

 (3) 検査事業(検数・検定・鑑定)は、国際貿易の公正取引、安全性と安定性など第三者証明機関として、その役割を十分に発揮している。従って、事業の公益性を維持し、規制緩和を導入しないこと。

3.非指定港の拡大により近隣諸港に重大な影響を及ぼしている。かかる理由から、指定港化に当たっては、周辺港を含めた港湾運送秩序の維持、ならびにSOLAS条約の改定に伴い検討されている港湾保安対策も考慮し、港湾法にいう重要港  湾及び関税法にいう開港との整合性を図り指定港化を進めること。

4.今後の港湾運営のあり方と「懇談会」のあり方について
  規制緩和の導入は、ユーザーにのみメリットを提供し、我が国港湾の競争力、安 定運営にはまったく寄与していない。かかる理由から、港湾運営に関する基本的考 え方を提起するので、貴省の考え方を示されたい。
 (1) 懇談会の議論の対象は、地方港とその他事業の規制緩和と理解している。懇談会で示された結論により、港湾運送事業法はどのように変わるのか。貴省は、過日の記者会見で事業法の改正に言及し、その要旨が業界紙に公表されているが、懇談会の結論が自動的に法改正の前提となることは納得できない。事業法改正を行う場合は、公式に検討の場を別途設置し、十分な協議を保障すること。
 (2) 港湾の安定運営のためには、港湾労働への充分な施策が不可欠である。従って、港湾労働法の全国適用はじめ他省庁と相互に連携をとり施策を実施するこ   と。

 (3) 運政審最終答申は、港湾労働問題について「船社・荷主は責任を逃避することなく」とユーザー責任を明記している。従って、24時間稼働など効率化を実効あるものにするため、労働環境整備についてユーザーの協力を義務づけるよう措置すること。

以 上